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①変形性膝関節症の手術療法について~骨切り術~

■はじめに

変形性膝関節症の手術療法には

(1)自分の骨は温存して、足の向きを変えることで膝の痛みを改善する「骨切り術」

(2)膝関節自体を人工的なものに入れ替えて痛みを改善する「人工関節置換術」

という、大きく分けて二つの治療方法があります。

関節軟骨の破壊が高度に進んでいて、歩行時痛が強く、膝の可動域制限がある場合には

「人工関節」を、関節の変性が軽度~中程度以下で膝外側の隙間が保たれていて、可動域

制限も少ない場合には「骨切り術」が適応となります。

※骨切り術は、比較的年齢が若く、高い活動性を要求される環境に置かれている方に適応

 となります。

■骨切り術について

変形性膝関節症の患者さんの多くは、O脚を呈し、歩行などの荷重に伴い膝関節内側の軟骨が

削られ、痛みを訴えているケースが多くみられます。

そのような症例に対し、当院では以下の手術を行って、痛みを改善しています。

■骨切り術の種類

①内側開大式高位脛骨骨切り術(Distal tuberosity osteotomy:DTO)

O脚へ変形した膝へ対して、下の写真の様に前から見ると内側を開き、横から見ると膝蓋骨下の脛骨を斜めに骨切りする事でO脚から正常な膝の形へ戻す手術方法です。脛骨の開いた部位へは人工骨を挿入しプレートで固定、脛骨を斜めに骨切りする部分はスクリューで固定します。基本的には軽度~中等度のO脚変形を呈した方が対象となります。

右膝術後正面レントゲン写真
右膝術後側面レントゲン写真

②遠位大腿骨骨切り術(Distal femoral osteotomy:DFO)

X脚へ変形した膝へ対して、下の写真の様に大腿骨の内側を骨切りし、大腿骨が内側へ傾く様に調整し骨切りする事でX脚から正常な膝の形へ戻す手術方法です。大腿骨の骨切り部位はプレートにて固定します。この手術方法は約3週間免荷歩行となり、術後早期は大腿骨が回旋する動作に注意が必要です。

左膝術後正面レントゲン写真
左膝術後側面レントゲン写真

※X脚とは?

O脚とは逆の変形性膝関節症の形状です。膝関節の外側が互いに近づく様な変形を呈します。そのためX脚の方は、膝の内側が痛くなるのではなく、外側に痛みが出現します。日本人はO脚が多いのに対し、欧米人はX脚の方が多いと言われています。

③大腿骨脛骨骨切り術(Double level osteotomy:DLO)

重度のO脚を呈している方に対して行う手術方法です。DTOのみ行うと脛骨を骨切りする矯正角度が広くなり、軟部組織への負担が大きくなってしまうため、大腿骨側よりDFOを行い矯正角度が大きくなるのを防ぎます。基本的にはDTO+DFOを同時に行う手術方法です。

右膝術後正面レントゲン写真
右膝術後側面レントゲン写真

当院では検査も即日実施可能です。保存的治療・手術的治療に関しても医師、コメディカルスタッフよりご説明させていただきます。膝の痛みでお悩みの方は、一度当院へご相談下さい。