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腰椎分離症について

腰椎分離症の原因動作を知ることの重要性(第36回日本臨床スポーツ医学学術集会より)

はじめに(腰椎分離症の基本的事項について)

腰椎分離症は発育期に腰椎椎弓の関節突起部に起こる疲労骨折です。

成人では、この発育期の疲労骨折が治癒せずに偽関節(骨が繋がらずに隙間ができている状態)になっています。

日本人では約6%の人に見受けられていますが、無症状の場合もあります。

原因

遺伝的な要因も否定できませんが、ほとんどの場合繰り返される運動負荷による疲労骨折です。

腰を反らせて回旋させるような運動の繰り返しにおいて、回旋した方と反対側の腰椎椎弓部に強い負荷がかかり骨折が起こるとされています。

野球・サッカー・バレーボール・体操競技・バスケットボールなど腰の反りと回旋をよく使う競技で発生しやすいといわれています。

近年の研究では競技特性だけでなく、走動作(ランニング)の増加が腰椎分離症の原因になることが示唆されています。そのため、治療では走動作の分析も重要になります。

症状

ほとんどの場合、疼痛(腰痛)が主な症状です。安静時痛や前屈動作では痛みは出にくく、上体を反らすような動作で痛みを認めます。分離症が進行すると、患部のみの痛みだけでなく背中、下肢にも痛みを訴えたり、前屈動作時にも痛みが見られることがあります。また、神経症状として痺れも出てくることもあります。

診断

成人の分離症はほぼ偽関節になっており、単純X線撮影で診断できますが、発育期の分離症の診断にはCTやMRI検査が有用です。ほぼ全例で骨折は腹側・尾側から始まり徐々に頭側へ進行します

「初期」→「進行期」→「分離期」へと進行していきます。

骨折部に骨吸収像が髪の毛のように細く見られるのが「初期」、明らかな骨性のギャップ(隙間)が見られる時期が「進行期」、分離部にギャップを残したまま骨硬化像が見られ、偽関節(骨折部が完全に離れてしまった状態)となるのが「終末期」です。

近年では、MRI検査によって「初期」に至る前段階の「超初期」の状態も診断できるようになり、早期発見と対応ができるようになりました。

治療

腰椎分離症の治療は、治療の目的を骨癒合とするのか(初期や進行期)、痛みの管理とするのか(終末期)を初診時の時点で明確にします。超初期では適切な治療により骨癒合率100%であるのに対して、終末期では骨癒合は期待できません。

① 分離超初期・初期

この時期は基本的にスポーツ競技の中止、硬性コルセットの装着で骨癒合を目指します。この保存的な治療で超初期や初期では90~100%の割合で約3ヶ月以内に骨癒合が得られます。

② 分離進行期

進行期でも治療方針は初期と同じく骨癒合を目指す保存治療となりますが、骨癒合率は80%と低くなり、治療期間も平均では3ヶ月以上が必要になります。

③ 分離終末期

終末期はすでに偽関節となっており、上記のような保存治療では骨癒合は期待できません。そのため治療は痛みのコントロールが主体となり運動療法(体幹の筋力強化・姿勢改善・柔軟性改善・物理療法など)や、状態に応じてコルセットを継続して使ったり、鎮痛剤の内服や場合によっては患部へのブロック注射などを行います。

今回の学会では、腰椎分離症の超初期・初期段階において、原因となる動作や身体の使い方を適切に改善できれば、必ずしも運動を中止する必要はない可能性が示されていました。

そのため、理学療法士が競技動作の分析を行い、フォームの改善や股関節の柔軟性向上、筋力強化などの身体機能の改善に取り組むことが非常に重要です。また、痛みがなくなったからといって根本的に改善したとは限りません。再発を予防し、安心してスポーツを続けるためには、痛みの原因を見つけ出し、その原因に対して適切にアプローチすることが大切です。

当院では、医師による的確な診断のもと、理学療法士が一人ひとりの状態や競技特性に合わせた評価・治療を行っています。スポーツによる腰痛や身体の不調でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。