足関節外側靭帯損傷
・はじめに
足関節捻挫は代表的なスポーツ外傷の一つで、最も発生頻度の高い足関節の怪我と言われています。主に足を内側に捻ることで生じ、特にバスケットボールやバレーボール等ジャンプする競技で多く発生します。
受傷時に損傷する組織としては、前距腓靭帯や踵腓靭帯、長・短腓骨筋腱、二分靭帯などの足関節外側に位置する組織が代表的です。

・症状
外くるぶしの腫れや、疼痛、皮下出血、歩行時の不安定感や荷重時痛、足関節の可動域制限も認められます。軽い捻挫では痛みを伴わない場合もありますが、捻挫が癖になり、頻回に捻挫を繰り返すと靭帯機能が低下することで不安定感が残り、重症化すると骨や軟骨損傷にまで繋がるため早期の適切な治療が望ましいです。
・診断
診断は、以下の項目で確定していきます。
①問診
どのように足首を捻ったか、腫脹・痛みの程度、歩行可能か等詳しく伺います。また、過去に捻挫歴があるかも確認していきます。
②視診・触診
足首の内側、外側に腫脹・内出血があるか確認します。外側靭帯に圧痛があり、靭帯走行に一致していれば損傷の可能性が高いです。
③徒手検査
医師が足首を動かし、靭帯の緩みや不安定性を確認します。
前に引き出す動き(前方引き出しテスト=Anterior Drower Test)、内側に捻る動き(内反ストレステスト=距骨傾斜角 Talar Tilt Angle)で靭帯の損傷の有無や程度を判断します。前方引き出しテストでは靭帯の伸びが4mm以下、距骨傾斜角では5°以下が正常です。
④画像検査
X線で骨折や剥離骨折の有無を確認し、超音波検査によって、靭帯損傷部の状態と、靭帯にストレスをかけて、どの程度緩みがあるかを診断します。腱・軟骨の損傷をより詳しく見る場合には、MRI撮影を行うこともあり、より詳細な診断に繋がります。
足関節靭帯損傷には以下のような重症度分類があり、回復の予測や治療方法を選択するための目安となります。
●Ⅰ度 前距腓靭帯の損傷のみ(靭帯が伸びる程度の微細損傷)
●Ⅱ度 前距腓靭帯・踵腓靭帯の部分断裂
●Ⅲ度 前距腓靭帯・踵腓靭帯の完全断裂
当院では超音波検査にて、靭帯の腫れ(炎症所見)や損傷度を確認し、主に前方引き出しテストで、前距腓靭帯の伸び具合(Anterior drower distance = ADD)を計測し、治療方針を決めます。通常はストレスをかけても靭帯の伸張は4mm以下ですが、それ以上の緩み(伸張性)が認められた場合、その緩みの程度や日常生活上での支障の程度など総合的に診断し、保存的にリハビリで治療していくのか、手術が必要なのかを診断します。基本的には保存治療で改善が期待できますが、以下の項目に当てはまる場合は手術適応となります。


(手術の適応基準について)
・画像診断基準
ADDが10mm以上、または健側の足と比較し3mm以上の左右差がある場合。
・臨床的適応(機能的不安定性)
3カ月以上の適切な保存療法(リハビリ)を行っても改善しない場合
日常生活やスポーツ中にふいに足首の力が抜ける感覚が頻繁に起こる場合
軽い段差などで、何度も捻挫を繰り返す場合
・治療
受傷直後は患部安静のためRICE処置を徹底的に行います。損傷や痛みの強い場合はギプス固定を行い、患部に負担をかけないようにするため松葉杖での免荷歩行を指導していきます。
その後、患部の回復次第で足関節サポーターを装着した状態での歩行を行います。この時期からは、足関節機能改善のためリハビリテーションを開始していきます。足関節周囲の機能、症状が改善していることを確認し、徐々にスポーツ復帰にむけて運動を再開していきます。

※この時期に疼痛が残っている場合は、組織修復促通・除痛を図るため集束型衝撃波を併用して治療を行います。
上記のような治療を行ったとしても疼痛や足関節不安定性などの足関節周囲の症状が残存する場合、また受傷直後の損傷が強い場合は手術療法が必要となります。
当院では、靭帯損傷に対する最新の治療法であるInternal Brace(インターナルブレース)靭帯補強手術を行っております。この手術は、損傷した靭帯を修復すると同時に補強ベルトを取り付けることで関節を安定させる方法です。靭帯が治る過程で関節の安定性を保ち、再損傷を防ぎながら安心してリハビリを進めることが大きな特徴です。

手術後は、早期に荷重歩行練習を開始し、術後3週間~4週間程度でジョギング程度の運動を許可、5週~6週程度でランニングやジャンプ・ダッシュなど徐々に運動負荷を上げていきます。7週~8週で競技復帰できるようにリハビリを進めていきます。