足底腱膜炎について
<病態・原因>
足底腱膜とは、呼ばれる足の裏にある腱膜の事を言います。この足底腱膜はかかとの骨に付着、着地時の衝撃吸収に作用し、足のアーチを保持するため強い圧迫力(押しつぶされる力)が加わります。また、踏み返し時には足のアーチを持ち上げる事で体重を前方へと移動させ、地面を蹴り出す役割も担っており、牽引力(引っ張られる力)も強く生じます。そのため足底腱膜付着部(踵の骨に足底腱膜が付着する部位)には大きな負荷が集中して加わっており、疼痛の原因部位になる事が多くあります。
足底腱膜炎とは足底腱膜付着部に繰り返し加わる負荷によって、足底腱膜実質の微小損傷が起きる事によって疼痛を引き起こします。また、足底腱膜炎の進行に伴って、石灰化や骨化、骨棘が検査にてみられる事もあります。
基本的には長時間の立ち仕事や歩行、マラソンなどのスポーツなどの使い過ぎが主な原因となりますが、足趾機能不全、足周囲筋筋力低下、体重増加、合わない靴の使用、偏平足や外反母趾などの足部アライメント異常も原因の一つになります。
<診断>
まず医師の問診によって、痛みの部位や症状の特徴を把握します。長時間の立位、走行、歩き始めの一歩目に踵の骨のやや前方あたりに痛みがあればこの疾患を疑い、圧痛(指で押さえた時の痛み)で部位を確認します。さらに、超音波検査で痛みがある部位の状態(炎症があるか、腫れているか等)を確認し、診断を確定します。
経過が長い場合は、踵の骨に変形がみられる(トゲ等が生じる)場合があり、それはレントゲン検査にて診断を行います。
<治療>
基本的には以下の保存的治療により、症状の改善を図ります。
1)足底腱膜のストレッチ(図A)
2)アキレス腱のストレッチ(図B)
3)足底挿板(靴の中敷き)を処方し、疼痛部位の負担軽減を図る
4)物理療法として、当院では主に集束型衝撃波装置を使って痛みを発生させている部位に対し、ダイレクトに痛みの改善を図っています。
5) 薬物治療としては、非ステロイド系の消炎鎮痛効果のある湿布や塗り薬、経口薬などを処方します。
6)痛みが強い場合は、ステロイドの局所注射(痛み止め)を行うこともあります。
※重症の場合は、足底腱膜の付着部を切り離す手術や、踵の骨棘(骨のとげ)を切除する方法もあります。