ぶろぐ

Blog
池田啓一医師

4.治療に対する考え方(ノーマライゼーション)

 私は後者の「痙性麻痺」に対する整形外科的手術を専門にしています。

 ただし「弛緩性麻痺」でも手足が変形し硬くなった状態に対して、「痙性麻痺」に行う手術を応用し変形を軽減・矯正することはあります。

障害(好きな言葉ではありませんが仕方なく使用しています。御本人にとっては現状が正常であるとも考えられます)は残念ながら完全に治りません。一般的にはリハビリをまずは開始することが多いかと思います。リハビリの他に薬物を用いた治療(最近では「ボトックス」が有名ですが)や装具両方、手術も脳外科的手術や整形外科的手術があります。私は整形外科的手術、OSSCSをお勧めしております。ボトックスやITB(バクロフェン髄腔内投与)療法、リゾトミー(脊髄後根切断術)といった治療もありますが私は否定的見解を持っております(後述させて頂きます)。

  • リハビリを行うにしてもきちんとした目的や方法が準備されるべきであると思います。
  • 説明をきちんと行い、患者様から希望されて行うもの。
  • 患者様御本人はもちろんであるが、その後家族みんなが元気に生きていける環境を考えて治療法や予定を考える。
  • ノーマライゼーションという観点から、私は脳性麻痺も脳卒中もすべて多くの病気の中の1つであり、それだけを特別扱いする必要はなく、可能であれば一般の病院で他の患者様方と一緒に治療が受けられることが望ましいと考えます。
  • 子供さんの入院では付き添いを希望されることが多いですが、是非付き添いをして頂きたいと考えています。特に小中学生くらいですと一人で入院させることは親としてとても心配であり、それが当たり前のことです。ほかに御兄弟がおられ面倒をみてもらうことが難しい場合には、一緒に入院して頂いても構いません。これまでも実績があります。
  • もし個室入院を希望されるときは他の患者様と同様に個室料をお支払い頂いております。これもある意味ノーマライゼーションの感覚です。
  • 私はできるだけ早く退院したほうが良いと思っています。脳卒中の方を除いてほとんどの方が早期退院を希望されます。やはり入院生活はきついものですし、御兄弟を家に残してきた場合は特に早くお帰り頂いたほうがみんなのためです。早く普段の生活に戻ることが大事だと思います。
  • それでも長期の入院を希望されるのであれば現在の医療制度上可能な範囲で入院は可能です。
  • 重度な方でも、軽度な方でも障害は苦痛です。それをこのOSSCSで少しでも軽くして御本人を楽にし、多少なりとも運動能力の改善や変形・脱臼の予防・改善等につなげたいと考えています。
  • 重度心身障害者施設に行きますと変形や強く、股関節が脱臼したままの方々が多くおられます。整形外科的医療に携わらずに生きてこられたことが大きな原因ではないかと思います。もちろんそういった治療があることを説明されたものの拒否されてそうなったのであれば納得もできますが、そうでなければ悔いが残ることもあるでしょう。
  • 同じ重度な状態であったとしても、適切な治療うけることで多少なりともその質を改善することは可能ではないかと思います。